大判例

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札幌高等裁判所函館支部 昭和26年(う)88号 判決

所論は原判決が原判示事実に適用した貸金業等の取締に関する法律は憲法第二十二条に違反するを以て無効である、従つてこれを有効な法律として適用した原判決は法令の適用に誤りがあるから取消さるべきものであるというにある。

憲法第二十二条は、何人も公共の福祉に反しない限り、職業撰択の自由を有することを保障したが、貸金業等の取締に関する法律は、「貸金業の取締を行い、その公正な運営を保障するとともに不正金融を防止し、もつて、金融の健全な発達に資することを目的とする」法律であることは同法第一条の明定するところである。而して同法律は、貸金業を行うとする者は、あらかじめ同法所定の事項を記載した届出書を大蔵大臣に提出しなければならないし、それが同法所定の要件を具備した適法な届出であれば、大蔵大臣はその届出をしたものに届出受理書を交付しなければならないのであつて、その届出受理書の交付を受けたものを同法において「貸金業者」といい、而して「貸金業者」でなければ貸金業を行つてはならないという貸金業を行うにつき制限規定を設けその違反者に対する罰則が設けられたけれども、もとより、何人にも貸金業の撰択を禁じたものではないことは右説示によりおのずから明かである。従つて憲法第二十二条に違反する法律でないことは縷説を要しない。よつて原判決がその認定した事実に右法律を適用したのは何ら法令の適用に誤りがない。論旨は理由がない。

(弁護人の控訴趣意)

第一点、原判決は被告人は貸金業者でないのに第一、(一)昭和二十四年十月十八日頃肩書住居に於て竹林勝三郎に対して壱万円を期限同年十月三十一日月利率一割で貸付け云々以下(七)に至る貸付及び第二、(一)昭和二十四年八月十三日頃須田広之が北海道農水協同社函館出張所に金九万七千五百円を貸付の際右住居に於て媒介を為し、以下(二)に至る媒介を為して貸金業を行つたものであるとの事実を認定し罰金五万円に処したるものなる処其処罰法規たる貸金業等取締に関する法律は憲法二十二条に違反するものにして無効と信ず、蓋し日本国民は公共の福祉に反しない限り職業撰択の自由を有し貸金営業は従来数拾年の長期に亙り許容せられ来りたるものにして又之れなくんば日本国民は円満なる経済生活を営む事能はざることは在来の習慣に徴し顕著なるのみならず其法律の実施以来銀行其他之に類似金融機関を利用し得る特殊階級を除く外全く金融杜絶し特に中小商工業者の営業不能者続出し困憊の状況目を蔽ふものあるに徴し明白なり、之が禁止を為さざる方却つて公共の福祉を助長するに至るものにして各人の営業の自由権を侵害すること甚しきものあるを以てなり、されば前記法律の有効なることを前提として被告人を処罰したるは違法なるにより原判決は取消さるべきものなり。

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